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低侵襲手外科

低侵襲手外科

一昔前では、「手外科」は非常に特殊な専門分野でした。手外科を目指す若手医師は、一般整形外科を研修した後に、手外科のかなり専門分化した診療技術の習得が必要で、研修できる施設も大学病院や手外科に特化した診療ができる施設などに限られていました。

しかし手外科学会による専門医制度の開始から10年程たち、研修プログラムが確立して専門医も年々増え、そこまで特殊な分野という訳ではなくなりました。その間に世界中の各学会で治療に関する知見が蓄積され、治療法の標準的プロトコルも増えてきた影響もあります。今では手外科分野の疾患も比較的容易に診療をうけることが出来るようになりました。

このように、より一般的になってきた手外科分野ですが、我々の施設では一層特徴的な治療を目指して、なるべく患者様に身体的負担のかからない「低侵襲」な治療を心がけております。

1. 内視鏡を使用した手術法

手根管症候群や肘部管症候群に対する内視鏡手術や、手関節部の靭帯断裂に対する鏡下手術を行っております。また、手関節部の骨折で多く発生する橈骨遠位端骨折に対して、関節鏡を併用することによって、手術の負担を減らす試みも行っております。

2. 骨折や関節拘縮に対する創外固定法

手部用の創外固定器であるイリザロフミニフィクセイター(アラタ社製)を用いた手術を行っております。従来の手術法は切開をして直接骨折部の固定や拘縮部の操作を行いますが、切開後の癒着や創痕が大きな問題となることがあります。なるべく切開をしない手術法を目指し、創外固定器によって良好な結果を得ることが出来ます。

 

 

 

3. 負担の少ない麻酔法

施設によっては上肢の手術を全身麻酔主体で行っている場合もありますが、我々の施設では上肢伝達麻酔(腕だけの部分麻酔)を主体に施行しております。特にリスクのない方では日帰り手術が可能です。

また、近年報告が増えている「Wide Awake Surgery」も施行可能です。上肢の手術にはターニケットといって、止血するための圧迫帯を上腕に巻くことが多いのですが、麻酔の仕方を工夫することによって、ターニケットの要らない手術を行っております。