取り扱う疾患
手外科では, 以下のような疾患の診療をしています。
腱鞘炎
ばね指、ドゥ・ケルバン腱鞘など
変形性関節症
母指CM関節症、ヘバーデン結節、ブシャール結節、変形性関節症
骨折
橈骨遠位端骨折、舟状骨骨折、肘関節部骨折、上腕骨骨折、手指骨骨折など
絞扼性神経障害
手根管症候群、肘部管症候群、ギヨン管症候群、前後骨間神経麻痺
腱・神経・靭帯損傷
屈筋腱断裂、伸筋腱断裂、手指靭帯断裂、神経断裂
手関節部痛
TFCC損傷、キーンベック病、手舟状骨偽関節、
関節リウマチ
リウマチ性関節症、腱断裂、滑膜炎
拘縮
デュプイトラン拘縮、外傷性拘縮
腫瘍性疾患
ガングリオン、巨細胞腫瘍、神経腫、グロームス腫瘍、内軟骨腫など
軟部組織欠損
皮膚・皮下組織・神経・腱・靭帯欠損
疾患の説明
母指CM関節症
母指CM関節とは、親指の一番付け根にある関節で、母指の対立運動や力を入れる際の支えになるとても重要な関節です。この関節は手の中でも特に動きや負担の大きな関節なので、手の他の関節に比べて傷みやすい関節です。重いものを持つ、つまむ、ひねる、蓋を開ける等の動きで疼痛を生じます。
主に保存療法を行いますが、半年ほどで改善しない場合には手術に踏み切ります。手術法はとてもたくさんあり、その選択は手外科医の考え方や好みによって異なり、未だにどの手術法が最も優れているかという結論は出ていません。
当科では、CM関節の土台になっている大菱形骨を切除し、長母指外転筋腱を用いて中手骨を支えにするsuspension arthroplastyという手術を多く行っています。ただし、若干握力が落ちる、除痛が完全に得られないことが稀にある、あるいは重労働には向かないというデメリットがあり、特に負担の強い労働環境に従事する方には、関節固定術という手術を選択しています。
TFCC損傷
TFCCとは、Triangular Fibrocartilage Complex(=三角繊維軟骨複合体)の略です。手首の小指側の深部にある軟部組織複合体の総称です。外傷で損傷する場合と、元々手首の骨格に由来する場合、慢性的な負担から損傷する場合などがあります。
多くはギプスやサポーター等の保存的加療で治癒しますが、それでも改善しない場合や、受傷直後から症状が強い場合には手術を行います。
当科では、関節鏡下あるいは直視下による縫合術や、縫合が適さない場合には再建術や尺骨短縮術等の手術を行っています。
ヘバーデン結節・ブシャール結節
指の第一関節のことをDIP関節、第二関節のことをPIP関節といいます。これらが経年性あるいは外傷等の影響で傷んでしまい、疼痛や可動域制限を来した状態をそれぞれヘバーデン結節、ブシャール結節(結節とは、コブのことです)といいます。軽症から中等度の病状ではそこまで困ることはありませんが、重度になると日常生活や社会生活上の支障が強くなります。また、炎症を起こしている状態を放置すると指の変形に進んでしまいます。
一般的な整形外科では外用薬や一時的な外固定で経過をみることが多く、あきらめて我慢している方も多いようです。手外科医として、日常生活上のアドバイスや付き合い方、サプリメント服用など、お話できることは沢山あります。また、どうしても症状が改善しない場合、DIP関節は関節固定術、PIP関節は人工関節置換術という手術の選択もあります。